[Video.js] の使用方法 - JavaScriptでの動画再生

映像コンテンツはウェブサイトのユーザーエクスペリエンスを豊かにするためや、情報伝達の効果を最大化するためのさまざまな目的で利用されます。このような重要な映像コンテンツをウェブ上で効果的に組み込み、管理するための多くの手法が存在します。その中でも、Video.jsは多くのウェブ開発者に信頼されているツールの一つです。本記事では、Video.jsの基本的な概念から詳しい使用方法、さらには"HTMLタグを利用した基本的な映像の組み込み"との違いについて詳しく説明します。

Video.jsとは?

Video.jsはウェブ上で映像コンテンツを統合し、管理するためのJavaScriptとHTML5を基盤としたライブラリです。

ウェブ上で映像を表示するために設計され、多様なプラットフォームやブラウザで一貫した映像再生環境を提供することを目指しています。

Video.jsの利点

  1. クロスブラウザ対応: Video.jsは多くのウェブブラウザやデバイスでの動作を考慮して設計されています。そのため、ユーザーは追加のプラグインや外部ツールなしに映像を再生できます。
  2. カスタマイズ可能なスキン: Video.jsは完全にカスタマイズ可能なスキンを提供しており、ウェブサイトのデザインやブランドに合わせて映像プレイヤーのデザインを調整できます。
  3. プラグイン対応: Video.jsは様々なプラグインに対応しており、映像プレイヤーの機能を拡張や変更することが可能です。
  4. オープンソース: Video.jsはオープンソースのライブラリとして、ウェブコミュニティや開発者の熱心な支援と参加を受けています。

Video.jsの欠点

  1. 学習曲線: Video.jsは直感的ではありますが、初心者には初期設定やプラグインの統合などで少し学習の必要があります。
  2. 容量: 複雑な機能やプラグインを追加することで、ウェブページのロード時間が増加する可能性があります。

Video.jsのインストール

CDNを通じたインストール

CDN(Content Delivery Network)を利用すれば、簡単にVideo.jsをウェブページに導入できます。HTMLファイルの<head>タグと<body>タグの終了部分に以下のコードを挿入してください。

html
<head>
  <link href="https://vjs.zencdn.net/8.5.2/video-js.css" rel="stylesheet" />
</head>

<body>
  <script src="https://vjs.zencdn.net/8.5.2/video.min.js"></script>
</body>

npmを通じたインストール

npm(Node Package Manager)を使用すると、ローカルの開発環境でVideo.jsをインストールし、管理することができます。以下のコマンドをターミナルで実行して、Video.jsをプロジェクトに追加してください。

bash
npm install --save-dev video.js

Video.jsの利用

HTMLに映像を追加

まず、ウェブページに映像を追加する必要があります。HTMLファイルに以下のようにコードを入力してください。

html
<video id="my-video" class="video-js" width="640" height="360" controls preload="auto" data-setup='{}'>
    <source src="パス/映像名.mp4" type="video/mp4" />
</video>

このコードは、640x360のサイズの映像プレイヤーを生成します。sourceタグのsrcには映像ファイルのパスを入力してください。


Video.jsのコントロール

Video.jsを使用して映像をコントロールするためには、Video.jsを初期化する必要があります。ウェブページのスクリプト部分(例: <script>タグ内や別のJSファイルなど)に以下のコードを追加してください。

javascript
var player = videojs('my-video');

このコードは、my-videoというIDを持つ映像要素をVideo.jsプレイヤーとして初期化します。

再生、一時停止、音量調整

Video.jsが提供するAPIを使用すれば、映像の再生、一時停止、音量の調整など、多くの機能を簡単に実装できます。

javascript
let player = videojs('my-video');

// 映像の再生
player.play();

// 映像の一時停止
player.pause();

// 音量調整 (0.5に設定)
player.volume(0.5);

イベントハンドラの追加

映像プレイヤーにイベントハンドラを追加することで、ユーザーとのインタラクションを管理することができます。

javascript
player.on('play', function() {
    console.log('映像が再生されました。');
});

player.on('pause', function() {
    console.log('映像が一時停止されました。');
});

Video.jsの豊富な設定オプション

Video.jsはユーザーと開発者の双方に向けて、詳細な設定オプションを提供しています。これらのオプションは、ビデオの再生品質、ユーザーインターフェース、ネットワークの動作、そしてユーザーエクスペリエンスなど、多岐にわたるカテゴリに分けられます。

  1. 再生品質に関する設定: 再生解像度、フレームレート、音量調整など、ビデオとオーディオの品質を最適化するための設定です。
  2. ユーザーインターフェースに関する設定: プレイヤーのボタン、ツールバー、スキン、デザインなどのUI要素を調整するための設定です。
  3. ネットワーク動作に関する設定: ストリーミング方法、バッファ設定、ネットワークの最適化など、ネットワーク関連の動作を設定します。
  4. ユーザーエクスペリエンスに関する設定: 自動再生、ミュート、事前ロードなど、ユーザーに提供される経験を調整する設定です。

これらの豊富なカテゴリの中で、特に重要で頻繁に使用される4つのオプション、すなわちcontrolsautoplaypreloadmutedについて詳しく説明いたします。

1. controls

controls オプションは、ユーザーがビデオプレイヤーの再生ボタンと相互作用することができるかどうかを決定します。 controlstrue に設定すると、ビデオの再生ボタンが表示され、ユーザーがビデオを開始することができます。逆に、falseに設定すると、再生ボタンは表示されません。この場合、ビデオの再生はautoplay属性を使用するか、Player APIを介してのみ開始できます。

javascript
var player = videojs('my-video', {
  controls: true
});

2. autoplay

autoplay オプションは、ウェブページのロード時にビデオが自動的に再生されるかどうかを決定します。このオプションをtrueに設定すると、ページのロードと同時にビデオが自動的に再生されます。一部のブラウザではユーザーエクスペリエンスを向上させるために自動再生がブロックされる可能性があるため、注意が必要です。

javascript
var player = videojs('my-video', {
  autoplay: true
});

3. preload

preload オプションは、ビデオの事前ロード方法を決定します。このオプションにはautometadatanoneの3つの値があります。

  • auto: 必要な部分だけビデオを事前ロードします。
  • metadata: ビデオのメタデータのみを事前ロードします。
  • none: ビデオを事前ロードしません。

この設定は、ユーザーのデータ使用量や読み込み時間に影響を与える可能性があります。

javascript
var player = videojs('my-video', {
  preload: 'auto'
});

4. muted

muted オプションは、ビデオの初期ミュート状態を設定します。このオプションを true に設定すると、ビデオはミュート状態で再生されます。

javascript
var player = videojs('my-video', {
  muted: true
});

これらのオプションは、ユーザーの要求やウェブサイトの特性に応じて調整し、最適なビデオ再生体験を提供することができます。


自動再生(Autoplay) 使用時の注意点

autoplay オプションを使用すると、ビデオが自動的に再生されます。しかし、最近のウェブブラウザはユーザーエクスペリエンスの向上のため、自動再生機能に制限を設けています。特にミュートされていないビデオの自動再生は、ほとんどのブラウザでブロックされます。

この問題を解決する一つの方法は、muted オプションをautoplay オプションと一緒に使用することで、このようにすると、ビデオはミュート状態で自動再生される確率が高くなりますが、自動再生を保証するわけではありません。

javascript
var player = videojs('my-video', {
  autoplay: true,
  muted: true
});

また、自動再生のサポートに関しては、Detecting Autoplay SupportProgrammatic Autoplay and Success/Failure Detection を参照してください。


Video.jsスキンのカスタマイズおよびテーマの適用方法

Video.jsは、ユーザーのウェブサイトやアプリケーションのデザインに合わせて、プレーヤーのデザインを簡単に変更できるように、スキンやテーマのカスタマイズをサポートしています。これにより、ビデオプレーヤーの外観をカスタマイズしたり、さまざまなテーマを適用することが可能です。

スキンのカスタマイズ

Video.jsのプレーヤースキンは、CSSを利用してカスタマイズできます。デフォルトのスタイルを変更するには、プレーヤーのCSSクラスにスタイルを追加します。

例として、再生ボタンの色を赤に変更したい場合、以下のようなCSSを適用できます。

css
.video-js .vjs-play-control {
  color: red;
}

さらに高度なスキンのカスタマイズが必要な場合は、Video.js Skin Designerなどのツールを利用して、リアルタイムにスキンの変更を確認しながらデザインできます。

Video.jsテーマの適用方法

Videojs Themes libraryは、Video.js用のさまざまなテーマを提供しています。このライブラリが提供するデフォルトのテーマを適用する方法は簡単です。

  1. プロジェクトに適用したいテーマのCSSファイルを追加します。例えば、「city」テーマを適用したい場合、以下のリンクを使用してCSSを読み込みます。
    html
    <link href="path/to/themes/dist/city/index.css" rel="stylesheet">
  2. Video.jsプレーヤーのクラスに希望するテーマ名を追加します。
    html
     <video class="video-js vjs-theme-city"></video>

選択したテーマがプレーヤーに適用されます。様々なテーマを試して、最も適したものを選び、活用してください。


HTMLタグとVideo.jsを使用した動画の埋め込み方法の比較

以前の記事[HTML] ウェブ開発における動画の挿入多様な方法では、ウェブページに動画を埋め込むためのHTMLタグの使用方法について詳しく説明しました。HTMLタグを使用する方法は、非常にシンプルで効果的です。しかし、Video.jsのような外部ライブラリを利用することで、さらに豊富で洗練された機能を利用することができます。それでは、これら2つの方法の違いは何でしょうか。どのような状況でどちらの方法を選ぶべきでしょうか。この2つの方法の利点と欠点を比較し、それぞれの状況での最適な選択を検討してみましょう。

HTMLタグを使用した動画の埋め込み

利点

  • シンプル: <video>タグだけで簡単にウェブページに動画を埋め込むことができます。
  • 外部ライブラリの必要なし: 余分なライブラリやスクリプトを読み込む必要がないため、ロード時間が短縮されます。
  • ネイティブサポート: ほとんどのモダンブラウザで<video>タグがサポートされています。

欠点

  • 機能の制限: 基本的な再生/一時停止機能以外のカスタマイズや追加機能は限られています。
  • スタイリングの制限: ブラウザによっては、<video>タグのデザインが異なる場合があります。

Video.jsを使用した動画の埋め込み

利点

  • 高度な機能: 再生速度の調整、字幕の追加、プレイリストの機能など、豊富な高度な機能が利用できます。
  • カスタマイズ: プレーヤーのデザインや機能を自由にカスタマイズできます。
  • ブラウザの互換性: Video.jsは、さまざまなブラウザやデバイスでの動作を考慮して設計されています。

欠点

  • ロード時間: 外部ライブラリを読み込む必要があるため、初期ロード時間が長くなる場合があります。
  • 学習曲線: 基本的な使用方法は簡単ですが、高度な機能を利用するには、ドキュメントを参照しながら学習が必要です。

どちらの方法を選ぶべきか

  • シンプルな動画再生が必要な場合: HTMLの<video>タグだけで十分です。追加の機能が不要な場合、この方法が迅速で簡単です。
  • カスタマイズや高度な機能が必要な場合: Video.jsのようなライブラリを使用することで、動画再生に関する豊富なオプションとカスタマイズが利用できます。

最終的な選択は、あなたのプロジェクトの要件や目的に応じて行われるべきです。必要な機能や外見、そしてユーザーエクスペリエンスを考慮して、最適な方法を選んでください。


ウェブ開発において、映像コンテンツの適切な活用は、ユーザーの関与と関心を高める上で非常に有効です。Video.jsは、このようなニーズに対応するための高機能かつ多岐にわたる機能を持っており、開発者の詳細な要件に応じて多くのカスタマイズが可能です。しかし、全てのプロジェクトがVideo.jsの利用を必要とするわけではございません。基本的な映像の埋め込みだけを求める場合、HTMLタグのみでも十分に期待される結果を得ることができます。プロジェクトの要件、開発環境、予想されるユーザーエクスペリエンスなど、多岐にわたる要因を検討し、最適な手法を選択することが肝要です。技術の選定は、その技術のメリットとデメリットを十分に理解した上で行うべきです。本文を通して、Video.jsとHTMLタグを使用した映像の組み込み方法に関する深い理解を得られたことを願っております。

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